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『笑わない数学者』

S&Mシリーズ3作目。今回も頭がパンクしそうなほどの、難解さ、思考の果てしなさ。謎だらけです。事件の舞台が個性的な建築物、鍵となる人物が建築家と、建築を学ぶ自分としては今までの事件以上に興味の持てる内容に。タイトルにある様に数学的な問題が多く、数学者みたいな人種の思考は面白かったですが、少し付いていけれない。難解すぎます。定義する物が存在する物だという考えが核となる部分で、コレが理解できるかどうかで面白さが変わると思う。最後、天才数学者は一体何者かという謎の残し方が最後まで気を緩めさせてくれない。死人にくちなしという奴です、多分生きていてもわからないままでしたでしょうが。結局この部分が一番の謎で、自分で想像するしかありませんが、本当に頭の使う小説です。笑わない数学者が最後に笑ったというのが答えなのでしょうか。今回登場した萌絵の友人がかなりいい味を出していたのですが、次の登場はあるのでしょうか。
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『冷たい密室と博士たち』

S&Mシリーズ2作目。今回も素晴らしい作品でした。この人の作品、謎解きの部分で論理的な部分を自分で理解しなければならないという、考させられる小説です。話が進むうちに、出てくる材料から自分で犯人を考え、最後には1からどんな仮説を使ったかを全部上げ、そこから発生した問題をどう解決し犯人に至ったかまで丁寧に教えてくれるのは、どこか講義を受けているような感覚です。登場人物が、大学工学部の助教授と生徒、その周辺ということで、起こる犯罪のトリックも数学的。超人的能力も超能力もなく、頭を使った、裏の裏をかいたトリック。探偵が突飛な発想で、犯人を当てるような、読者は考えなくても、天才がわかりやすく問題を解決してくれるような話ではなく。1から論理的に進む推理は、こちらも頭を使い、数学を解くような感じです。今回は「すべてがFになる」程の理系な難解さは無いので、事件もわかりやすい。犯人の動機も、前作の天才の発想より一般人に近く、読みやすさならこっちの方が上です。最後に話とは関係ないところでの数学が将来なんの役に立つかという問答は、衝撃、目から鱗がおちました。そういう考え方をすれば自分も好きになれるかもしれない。どうでもいいが、犯人が岡山出身。


『女子大生会計士の事件簿 DX1』

ビジネス小説ということで、小説を通して会計のことがわかるし、会計の裏側を知ることが出来るとっても勉強になる本。裏金や利益の水増し等不正な部分も暴露され、ビックリするようなことも多く。株の仕組みなど、専門の本を読んでもいまいち理解できない物も、話を通してだとよくわかる。話の後には、専門用語の説明もあり、とても親切な本だと思う。物語としては、面白いんだけど、全体的にちょっと単調、事件簿とあってもうちょっとミステリが強いのかと思いましたし。でも、ビジネス小説としたらちょうどいいのかもしれない、いかんせんそういう類を読むのはこれがはじめてなので。キャラクターとしては萌さんは十分魅力的ですが、カッキーがちょっとヘタレ。公式ホームページでは、眼鏡でなかなか美形に描かれているのに。これからシャキッとしだすのかな。


『すべてがFになる』

第一回メフィスト賞の受賞作であり、森博嗣のデビュー作。S&Mシリーズの一策目にもなるのですが、かなり面白い。理系な単語が登場し、説明も無いから少々読むのに苦労するが、スピーディな話の展開、魅力的なキャラクター、次々とページをめくってしまう。身体的な能力とか、物的証拠とか関係なく論理で解かれていく謎、犯人にいたるまでの論理が物凄く、パソコンの特性や16進法、理系な話ばかりでそれがまた完璧で美しい。謎解きだけでなく、犀川先生、西之園萌絵、天才・真賀田四季の言動も素晴らしい。犀川先生と西之園萌絵の学問的な会話には目から鱗が落ちそうな物ばかりだし、天才の発言や行動は全てを超越したような物ばかり、学問的にも精神的にも凡人にはとてもたどり着けないような所で生きていて、最後の最後まで操り人形のように登場人物全てを動かしていたのは恐れるばかりです。「すべてがFになる」この意味が解けたときの驚きは、ミステリ小説を読んだ中では一番です。


『バイバイ エンジェル』

笠井潔のデビュー作。本格推理小説とありますが、謎解きよりも思想や哲学を前面に押し出している気がする。むしろ、矢吹駆がいう現象学は、そのもの自体は興味深い物だけれど、謎解きの部分においては全く生かされてないというか書かれてないというか、結局なんだったのか。途中のナディアの間違った推理は、読んでいるこっちが恥ずかしい物で、正直ミステリな部分で楽しめる所はそんなに無かった。終盤の、殺人事件を裏で糸を引いていたテロリストとの、革命論と観念論による思想対決のほうが面白い。実際作者は、殺人事件はただ、思想・哲学を伝えるための手段に過ぎなかったんだと思います。


『GOTH リストカット事件』

乙一のせつなさの部分ではなくて、暗くて残酷な部分が出ている物語。かなりグロテスクな描写も多々ある。短編連作なつくりで、ひとつの話ごとに区切りが付いている。主人公は僕の一人称で話が進んでいく。この主人公がひどく異常で非情で話の中で出てくる彼はとても怖いです。乙一の人間の心理描写はどんな話でも細かく、感情移入できるぐらい素晴らしいのですが、今回ばかりは殺人を犯す、狂った人ばかりなので、こっちの頭がおかしくなりそう。どの話も暗いですが、「犬」の異色さと「土」の精神的な闇の部分が特に異常です(そしてそれがまたいい)。マンガにもなっていて、それはそれでまた違う展開になっています(ヒロイン森野夜のデザインはぴったり)。


『天国の本屋 恋火』

天国の本屋シリーズ3作目。今回は天国だけでなくて地上での話も並行して進んでいく。切なくてあったかい感動するストーリーは相変わらずで、今回も素晴らしい物語です。心に傷を負っている登場人物たちが立ち直る展開はとてもいいのだけど、あまりにもあっさりしすぎている感じがちょっと不満足(こんなにいい話を真っ直ぐ受け止められないボクの心に以上があるのかも知れない)。なんにしても、花火とピアノのロマンチックな話。恋火というタイトルがぴったしです。決して多くは無いページ数、淡い感じの挿絵、表紙も綺麗で手に取りやすい一冊です。また、竹内結子主演で映画にもなったそうです。シリーズ2作目がうちの辺りの古本屋にないのが悔しい。


『天国の本屋』

とても読みやすく1時間ちょっとで読めます。挿絵もあり、話の中心になる仕事が朗読というため他の本からの引用が多く、物語の部分はそこまで多いわけでもないですが、とても心温まる切なくてやさしい物語。天国の本屋での仕事で生きる希望を持つ主人公と、主人公とのふれあいでこの世で受けた大きな傷を癒すヒロイン。ストーリーが恋愛小説なため少し甘いですが、嫌悪するほど甘くない。特に最後の一行で、全てが救われる気がします。恋愛小説が嫌いな人もこれなら読めると思います。
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