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『数奇にして模型』
あまりのページ数にビックリのS&Mシリーズの9作目。一気に読んでしまいたいボクには、なかなか時間が取れず、購入してだいぶたってやっと読めました。しかし、いつもどおりの読みやすい文章に、エンターテイメントな部分も増してか、結構すぐに読めた。内容は、模型というジャンルになりかなり濃い物に、そして登場人物も濃かった。しかし、模型に賭ける情熱や信念は素晴らしい物で、特に大御坊のクリエーターとしての心構えは感心させられる物でした。そして事件は今までに無い猟奇的なもの、しかも犯人が異常者という、ボクは推理にもいたらない結果に。グチャグチャだ。今回は、事件よりも人間関係とかそっちの方に目が向いてしまうような。色々と人物相関図が分かったり、犀川先生がいちだんと人間っぽくなったり。にしても、国枝助手はやっぱいい。どんどん良くなっていくよ。そして、次でS&Mシリーズがラストということで、気合を入れていかねば。でも、あれページ数多すぎ、いつになれば読めるのか。
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『失踪HOLIDAY』
スニーカー文庫に収録された「失踪HOLIDAY」が清原紘によりコミック化。もともとの作品はもちろん面白かったのですが、この漫画版も安心して読める出来。自分が自分に誘拐されるという狂言コメディーですが、主人公の心の暗いところや血がつながってなくても家族であろうとする家族愛と笑えるんだけど切ない部分もあるいい話。そんな話をバックアップする清原紘の絵。癖のない魅力的な絵柄、デフォルメキャラやコメディー描写、シリアスな劇画まで書き分けられる画力。キャラクターデザインもいいし(特に秘書は最高)、いいことずくめ。正直漫画のほうが完成度が高いかもしれない。文章で抽象的でなかったところも絵になることで具体的になり、より心に響く物に。特にラストは感動的過ぎて、思わずうるっと来るものが。本当に良かった。本当にこの人が書いてくれてよかった。名作。乙一好きなら読むべきだし、知らない人も読むべきだ。個人的なベストコマは番外編でダーツが当たった雑誌、隣のページにはさりげなく森野夜の姿が、犬・ゲキタイ講座って一体何をやるのだろうか。あとがきであったが、この人で別のをコミックかするならなんだろうか、出版社的にも角川に絞られるだろう、「calling you」を読みたいがもうされているし、面白い所で「手を握る泥棒の物語」もいいが視線が男ということで、この人の絵が活かされないような、とにかくいえるのは「失はれる物語」は無いですよ。英断です、編集者。アレは小説のだからいい。まあ、そのまえに「鈴木☆姉妹」等のこの人のオリジナルの単行本化を切に希望。
『GOTH』
小説であった冷たさやグロテスクさ切なさを見事に表現された傑作。コミック化により多少ストーリーが変わってしまったものもあるが、それでも乙一っぽさが出ている。作画担当の大岩ケンヂの絵柄もこの作品の雰囲気にばっちりで非の打ち所が無い。森野夜のデザインはまさにその通りといえるほどの素晴らしさ。絵になるということで文章で靄のかかっていたグロテスクな部分がはっきりと見られる、木に巻きつけられた内臓や、腹の中に入った頭、首にボールペンさして自害した少女。情景描写の表現力も素晴らしく、落ちる紅葉など細かい所まで凝っている。この人以外ではコレほどまでのものに出来なかったと思う。収録作も、どれひとつとして失敗した感じが無く。雰囲気そのままに切り取ってくれている。ラストの記憶は「声」をいじったような作品だけど、上手くまとめられている。素晴らしい作品でした。個人的には「犬」とか入れて欲しかったが、やっぱ主役があまり登場しなかった回はだめだったのだろうか。
『ひぐらしのなく頃に 綿流し編』
ガンガンWINGっぽい絵柄だなと思える絵柄。鬼隠し編ほどの受け付けなさは無く純粋に楽しめました。ラブコメ調に進む展開に頬を緩ませながら、時折見せる恐怖や凶器におびえ、ラスト悲しい結末と思わせといて、いままでの出来事をひっくり返す事実に恐怖。悪質だ。ページ数からか日常部分は大幅に省かれ、日常と異常のギャップっていう点が薄いのが残念だが、作者がちゃんとここぞという所は抑えてくれているので問題ない。今回の見せ所の拷問の場面からラストまでの展開の盛り上がりは、相当気合が入っています。今までのしっくりと来なかった部分が嘘のようにかみ合う台詞とコマ割りに大胆な見開き、作者の持つ技量がいかんなく発揮できたのでしょう。特に最後ベッドの下から魅音が出てくる場面は、マジで怖い、見開きでじわじわと出てき楳図かずおを思わせる絵、さらに見開きでしめる。原作であった会話が無かったのが残念でしたが、原作そのままの雰囲気で読めた。良作。ベストひとコマとしては、見舞いに来た大石を嫌がる圭一のお母さん、一番ぐっと来た。それにしても、このシリーズは何故2巻が分厚いのか。
『ああっ女神さまっ(34)』
女神以外が一人で表紙を飾ったのは今回が初めてではなかろうか。それだけ千尋さんは魅力ある女性なのです。表紙見るだけでも、絵柄の変化が激しく、いまも昔も女神たちは美しいのだけど、最近のは美しさが極まった感じがあり、昔みたいなかわいらしさが少ない、個人的に20番台前半ぐらいの絵柄が好きかな。相変わらずメカの話が多く、今回は前半がバイクの話で、後半が久しぶりに登場の仙太郎君とスクルドの話。バイクの知識なんて全くない自分には会話が何のこっちゃ分からないけど、バイクを前にして目を輝かせる螢一たちが面白いので不思議と読めてしまう。モンキー入門なるページも付いていて、素人にも優しい(のか?)。それにしても、ベルダンディーが「意外に定番の改造ですね」なんて台詞を言うなんて、いつの間にそんなにメカに詳しくなったのさ(女神だから)。後半の話は、なんか青い展開が全開なわけで、ロマンスの女神様が降臨。にしても、OVAになったりアニメが二回も放送されたり、しかも今度はゲームですか、本当にいつまで続くのか。
『nukumori』
柔らかい日差しのようなトラックに、耳当たりのいいサビは万人受けをするかなりPOPな物になっていますが、そんな物より耳を傾けたい所はRAP部分。一時期大丈夫かと思うような時期があったが、そんな心配はドコへやら。フルアルバム、マツリルカを経て、次のレベルへ到達したかと思える。あのうねりのあるフロウにさらに磨きがかかったようで、かなりカッコイイ。それにリリックも相変わらず上手い、全く無理やり感の無い韻踏みはさすがというほか無い。後半の盛り上がりは、MCUの巧みさが物凄い、ただこの盛り上がりをサビで壊してしまっている感は否めない。個人的にサビが邪魔で、もっとHIPHOPぽいHOOKを用意してくれた方がよかった。その一点が残念。作曲もMCUが手がけ(北浦正尚なる人も一緒だが)、これからの活躍にいっそうの期待が。ただ、KICKの面々が完全にPOPな方向へ走ってしまったようで、KICK結成以前のようなスタイルに誰か戻ってくれないかなと思っている。
『涙のふるさと』
LOTTE airsのCMタイアップ曲として以前から流れていたが、歌詞を見ながら聴くとやっぱり藤原基央の書く歌詞は素晴らしいなと思う。さらにメロディも曲の盛り上がりも耳にすんなり入る、ケチを付けるところなんて無い、いい楽曲だと思う。これだけ定期的にハイクオリティな楽曲を届けてくれるバンドはそう居ないでしょう。そんな満点のタイトル曲に引けを取らないくらい二曲目の「真っ赤な空を見ただろうか」も素晴らしい。カップリングだからって侮ってはいけない。まずタイトルからして一体どんなのだろうと想像させる魅力、静かながらどこか激しさを伴ったサウンドに藤原基央の素晴らしい世界が詰まった歌詞。個人的にはこっちのカップリングの方が好み。ぜひともこちらの方にも耳を傾けて欲しい。そして隠しトラックは、今までとは違った雰囲気が出た面白い作品。しかし変なのは相変わらず。
『ひぐらしのなく頃に 綿流し編』
前作は物語全体のプロローグなので主人公の圭一とレナが主役でしたが、今回は魅音がメインのストーリー。魅音と詩音の双子の姉妹が物語の核にいるわけだがこの二人がかなりやっかいだ。日常ではラブコメ調に物語をかき回し、事件では最後の最後まで謎を残し去る。この話自体は、序盤や所々にラブコメな雰囲気を漂わせ、鬼隠し編ほどのトラウマを残すような恐怖は多くない。ただ、物凄く不可解すぎて頭の中がこんがらがり何がなにやら分からなくなる。事件自体の推理はさほど難しくなく、物語の半ばでは大体のことはわかり、しかもヒントも多いので物凄く簡単に思えるが、事件の裏に隠される真実が分からない。絶対にありえるはずの無い出来事に祟りの存在を信じなければ繋がらない。結局最後のアレは誰なのか、ドコまでが詩音でドコまでが魅音なのか、何故、何故、何故。読後は疑問符だらけだ。只今推理中。とりあえず問題編を色々組み合わせて、より真実に近い解答を推理しなくては。解けつつ、さらに深まる謎に期待をこめ次のシナリオへ。それにしても今回は、色々なネタが満載だった。本当に舞台は昭和58年なのかと思われる会話、メイド喫茶的な存在、CCさくら(劇中ではカードマスター)、そして何より知恵(留)先生の存在。ここにきてもカレー、カレー、カレー、学校にカレー菜園を作るとは何事か。埋葬するとか、指の間にチョークを挟むとか、多分電信柱の上に立ってもいるんでしょうね。いや、満腹。