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『ZOO』
乙一の短編集『ZOO』から五篇の物語を映像化したオムニバス映画。文庫だと『ZOO 1』の方に収録された「カザリとヨーコ」「SEVEN ROOMS」「SO-far そ・ふぁー」「陽だまりの詩」「ZOO」が映像化。短編集の中でも面白い物ばかりだけれど、いまいち乙一の雰囲気が出てなかった気がする。それとどこか暗い話が多いせいか、「SO-far」の辺りから疲れてくる。全体的に、人物の心理描写が少なく話が良く繋がってなかった部分もしばしば。それでも一つ一つの話はちゃんと面白かったので満足。
「カザリとヨーコ」
短編集でも一番最初に来る話。虐待の話なんですが、母親役の松田美由紀の演技が怖い。それにカザリの食べ残しを貪るヨーコも怖い。全体的に漂う無機質感が怖い。とにかく怖い。そして何よりも怖いのがカザリとヨーコを一人二役で演じた小林涼子。本当に同じ人かと思うぐらいの演じ分け、時折見せる無機質な表情。怖い。原作の雰囲気を忠実に再現してくれたのは嬉しい。しかし怖い。
「SEVEN ROOMS」
多分短編集を読んだ中で一番印象に残るのはこの作品。映像化に当たって一番期待していたのもこの作品。見えない何者かに殺されるという迫り来る恐怖。夜怖くてトイレに行けなくなるほどの怖さを持った作品。そして映像化に当たってどうなるかと思えば、あまりに残酷な描写は控えられ、肩透かしを食らった感じ。もっとグロくてよかった。用水路に流れる血もあんな絵の具を薄めたような物でなくてよかったし、内臓やら手足やらを流してくれてもよかった。それじゃ18禁になるがそれでも良かった。そういう意味では残念。それでも死を間際に迎えた緊張感や決意なんかは充分伝わった。そして読んでいて一番恐怖に震えた、最後のお姉ちゃんの笑いが無かったのが残念。あったらあったでちびるぐらい怖かっただろうけど、やっぱりあの場面は見たかった。
「SO-far そ・ふぁー」
乙一の作品に漂うどこか不思議な雰囲気が上手く表現されていたと思う。ソファーを中心にした演出も良かった。そして神木隆之介君の演技が良かった。原作忠実で見てて本当に面白かった。最後の父親がちょっと戸惑いながら手を振る所なんか切なく、そして笑いあう姿はとても心温まるものだった。
「陽だまりの詩」
ボクが短編集の中で一番好きな作品。そしてこの映画の中で一番出来が良かったのもこの作品。この乙一の切なさが上手く表現されていて、とても心温まる物語。フルCGアニメをわざとセルアニメに見せる技術もすごい。そのおかげで、人物の表情なんかが絶妙なバランスで上手く表現できている。時間が短く、人物の心理描写がカットされていて説得力が無いような場面もしばしばありましたが、それを補う演出。悲しい話ですが、ただ悲しいで終らず希望が見える作品は素晴らしい。実際コレだけでOVA化して欲しい。もっと細かい所まで見せて欲しい。
「ZOO」
表題作なのに一番意味がわからない作品。原作も正直よくわからない物でしたが、これはそれに輪にかけてわからない。監督が独自の解釈をしたのか、原作とは全然違う内容に、妙にアダルトで意味がわからない。人がだんだん腐敗していく写真も気持ち悪いし、一体何がしたかったのかよくわからない。
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